年収ランキング26社で、満足度が年収と一致しない理由
この記事はSES経営の話です。自社の現在地は、3分の組織診断で測れます。無料・匿名です。
「SES・技術者派遣の平均年収ランキング」がXで11万回以上表示され、エンジニアの間で回っていました。26社。1位690万円、26位356万円。
経営者が見るべきなのは順位ではありません。年収と満足度が一致していないことです。
金額の順に、並んでいない
同じ表に、5段階の社員満足度が載っています。
| 年収順位 | 平均年収 | 満足度 |
|---|---|---|
| 2位 | 688万円 | 4.79 |
| 4位 | 639万円 | 2.50 |
| 17位 | 482万円 | 3.50 |
| 24位 | 423万円 | 2.00 |
4位は2位より49万円低いだけで、満足度は半分です。17位は年収で200万円以上低いのに、4位より満足している。金額が満足度を決めていない。
残業時間でも説明できません。満足度4.79の会社は月19.7時間、2.50の会社は25.8時間、3.50の会社は8.7時間、2.00の会社は23.3時間。並びません。
満足度1位の会社は、何が違ったか
出典のデータベースで、満足度1位の会社の企業説明を読むと、こう書いてあります。
客先単価と還元率の公開を方針として掲げ、商流の明確化に取り組む
公開されている還元率は68%。高くはありません。厚生労働省の労働者派遣のマージン率は全国7,157事業所の中央値で32%、還元率でいえば68%。つまり真ん中です。
この会社を分けているのは率ではなく、「いくらで、どう決まったか」を社員に言っていることだと読めます。単価を知らされないエンジニアは、自分の還元率を計算できない。計算できない数字は、疑うしかない。
この数字の限界も、書いておきます
この記事の数字は、働いている本人の自己申告を平均したものです。1社あたり数十件。しかも閲覧するには自分の給与データを登録する必要があるので、回答者は転職を考えている層に寄ります。満足度には、満足している人が投稿する会社と、不満な人が投稿する会社の差も混ざる。
だから絶対値は信じません。信じるのは、傾向だけです。年収と満足度が並ばない、という傾向は、この程度のデータでもはっきり出ています。
経営への含意
年収を上げる前に、説明を上げる方が先だと思います。
自社のマージン率がいくらか。中央値32%のどちら側か。その率が何に使われているか——教育、待機中の給与、営業の人件費。説明できる32%と、説明できない32%は、社員から見ると別物です。
説明できないまま率だけ下げても、満足度2.50の側に残ります。説明できるなら、率が真ん中でも4.79の側に立てる。ランキングは、そう読めます。
できることを、順番に
① 自社のマージン率を出す。マージン率の位置に自社の単価と給与を入れると、全国分布のどこにいるかが出ます。
② 1人あたりの粗利を全員分並べる。率の中身を説明するには、まず自分が中身を知っている必要があります。
③ 「いくらで、どう決まったか」を1人に言ってみる。全員に一斉ではなく、まず1人。言えない理由が出てくるなら、それが本当の課題です。
最後に
エンジニアは、ランキングで会社を比べています。11万回表示されたということは、それだけの人が「自分の会社はどこか」を探したということです。
その人たちが見ているのは金額の順位ですが、動くかどうかを決めているのは、説明されているかどうかのように見えます。率を変えるより、先にできることがあります。
出典:OpenMoney「【SES・技術者派遣】平均年収ランキング」(2026年9月4日投稿・26社。運営:株式会社ジュッキ)/厚生労働省「労働者派遣事業報告」に基づくマージン率(SESの数字に集計と出典を掲載)
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