割増賃金の「50%ライン」——月60時間超の扱い
この記事はSES経営の話です。自社の現在地は、3分の組織診断で測れます。無料・匿名です。
給与明細を確認したら、月65時間の残業に対して25%の割増率で計算されていた——この明細、すでに法律の水準を下回っています。
通常25%、60時間を超えたら50%
時間外労働の割増賃金率は、通常は25%以上です。法定休日の労働は35%以上、深夜労働は25%以上で、重なる場合は加算されます。そして月60時間を超える時間外労働には、50%以上の割増が必要です。
この50%というラインは、もともと大企業だけの規定でしたが、2023年4月から中小企業にも適用され、猶予はすでに終わっています。「うちは中小企業だから25%のままでいい」という理解が残っていたら、それはもう2年以上前の情報です。
差額は消えず、静かに積み上がる
冒頭の例のように25%のまま払い続けている場合、何が起きるでしょうか。差額は消えるわけではなく、本人に気づかれないまま積み上がっていきます。 そして請求されるときは、さかのぼってまとめて来ます。数か月分ならまだしも、何年も気づかず払い続けていた場合、金額はまとまった額になります。
SESは「60時間超」が起きやすい構造にある
SESは客先の繁忙期に引きずられる働き方で、月によって残業時間が読みにくく、60時間を超える月が単発で発生しやすい構造にあります。だからこそ、給与計算の担当者に任せきりにするのではなく、幹部自身が率を知っておく必要があります。担当者が古い認識のまま計算表を更新していないケースは、意外と見過ごされがちです。
発覚するのは、たいてい退職のタイミング
割増率の計算誤りは、在籍している間は誰も気づかないまま流れていくことが多いです。表面化しやすいのは、本人が退職を決め、最後に給与明細を数か月分並べて見返したときや、システムを新しく入れ替えて過去分を再計算したときです。気づかれるタイミングが会社にとって最も都合の悪い局面と重なりやすい、という性質そのものが、この論点を軽視できない理由になっています。
自社の給与計算のロジックが最新かどうか、一度確認してみてください。時間外労働そのものの上限についてはこちらの記事、原価としての人件費の見方は1人あたり粗利の回も参考になります。
自社の状態は組織診断から棚卸しできます。
2026年8月時点の制度に基づいています。実際の判断は、専門家の助言の代わりにはなりません。
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