稼働率100%なのに利益が出ない——「埋める」と「稼ぐ」は別の指標
この記事はSES経営の話です。自社の現在地は、3分の組織診断で測れます。無料・匿名です。
「全員稼働できているので、今期は問題ありません」——営業からこの報告を受けて、安心して次の議題に進んだことはありませんか。
その安心は、半分だけ正しい判断です。
稼働率が測っているのは「埋まっているか」だけ
稼働率は、待機者がいるかどうかを見る指標です。それ以上でも以下でもありません。単価とフルコストの差がほとんど無い案件で埋めた100%も、差が大きい案件で埋めた100%も、稼働率という数字の上では同じ「100%」として並びます。
「埋める」ことと「稼ぐ」ことは、別の仕事です。 ここを混同したまま稼働率だけを追うと、営業は「空けないこと」を目的に動き始めます。安くても早く決まる案件で埋めれば数字は達成できるので、それ自体は営業として合理的な行動です。問題は、それを許す指標の立て方の側にあります。
見えなくなっているのは、差額という機会費用
安い現場で埋めた100%は、より高い現場に出せたはずの差額を、毎月払い続けている状態と同じです。この差額を機会費用と呼びます。会計上は赤字になっていないので気づきにくく、報告書の稼働率欄には正しく「100%」と書かれます。だからこそ、報告を受ける側が数字の中身まで確かめないと、この損失は誰にも見えないまま毎月積み上がります。
報告を受けたら、次に聞くこと
「全員稼働できています」という報告を受けたら、返す質問は決まっています。
- 一人あたりの粗利は、平均でいくらか
- その中に、単価がフルコストを下回っている案件は無いか
- 直近で契約が切れた案件と、いま埋めている案件では、単価にどれくらいの差があるか
稼働率の報告と、一人あたり粗利の報告は、常にセットで求めてください。稼働率だけの報告は、会社が儲かっているかについて何も語っていません。
見るべき数字を1つに絞る
月次で経営が見るべき数字は、稼働率ではなく一人あたり粗利です。稼働率は補助的に見る程度でよく、主役の指標にしてしまうと、その瞬間から現場は稼働率を上げる行動を最適化し始めます。指標を主役に据える前に、その指標が本当に見たいもの(利益)と一致しているかを確かめる——これが幹部の仕事です。
自社の一人あたり粗利の分布を、待機コスト計算機や月次の数字を見る日の運用と合わせて確認してください。組織全体の状態は組織診断(14問・3分)でも見られます。
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