数字を見る日を決める——月次経営の最小ルーティン
📗 SES経営のOS|マネジメント 第2講「数字は見ていますか?」と聞くと、ほぼ全員が「見ています」と答えます。しかし実態を聞いていくと、請求書を発行するときに売上を眺めているだけ、というケースが少なくありません。
それは「見ている」ではなく「目に入っている」です。経営として数字を見るとは、決まった日に・決まった形式で・打ち手とセットで見ることを言います。3つとも欠かせません。
SESの月次で見る数字は、5つで足りる
管理帳票を何十枚も作る必要はありません。SESの経営は、次の5つでほぼ掴めます。
- 1人あたり粗利(平均と分布)——赤字稼働は何人いるか。損益分解の回で書いた、経営の最小単位
- 待機人月——今月、何人月が空いたか。年額換算は計算機で
- 契約更新2か月前リスト——使う側の本音①のとおり、切る判断は更新の1〜2か月前に行われます。会社側も同じタイミングで動く
- 採用パイプライン——応募・面接・内定の各段階に、今それぞれ何人いるか
- 現金残高(月商の何か月分か)——最後の安全装置。3か月分を下回ったら他の全議題より優先
「決まった形式」の意味
毎月フォーマットを変える会社は、毎月ゼロから考えています。同じ表を同じ順番で見るから、変化だけが浮かび上がる——これが形式を固定する理由です。先月と今月の差分こそが経営情報で、絶対値そのものではありません。
なお、月次の利益が賞与月に大きくへこんで見える場合は、賞与を月割で引き当てて平準化してください。物差しが毎月同じ長さになり、実力の変化が見えるようになります。
「見る日」を予定表に固定する
月末締めの後、◯営業日目——と日を決めて、予定表に毎月入れてしまいます。所要は30分でいい。会議にする必要もありません。まず「見る日が存在する」ことが、ほとんどの会社に欠けている第一歩です。
打ち手とセットにする——でなければ観賞
数字を見て「うーん、厳しいね」で終わるなら、それは経営ではなく観賞です。固定した5つの数字には、アラート条件と対応をあらかじめ決めておきます。
| 数字 | アラート条件(例) | 決めておく対応(例) |
|---|---|---|
| 1人あたり粗利 | 赤字稼働が1人でもいる | 当月中に単価交渉か配置換えの方針を決める |
| 待機人月 | 待機2人×2か月継続 | 新規受け入れを一時停止し、営業を決定に集中 |
| 更新リスト | 更新2か月前 | 現場リーダーへの温度確認と本人面談を実施 |
| 採用 | 面接ゼロが2か月継続 | チャネルの見直し(採用コストの回へ) |
| 現金 | 月商3か月分を下回る | 投資・採用の凍結を検討、資金繰り表を週次に |
条件と対応を先に決めておく理由はひとつ——その場で考えると、判断が感情と楽観に流れるからです。冷静な日の自分に、悪い日の判断を委ねておく。それが月次ルーティンの正体です。
マネジメントの1on1が「人」の定点観測なら、この月次は「数字」の定点観測です。両輪が揃っているかは、組織診断(14問・3分)で確認できます。
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