エース級を課長にする前に、確かめておくこと
この記事はSES経営の話です。自社の現在地は、3分の組織診断で測れます。無料・匿名です。
エース級のエンジニアを、来期新設する課の課長に昇格させる——この案が出たとき、決め手になっているのはたいてい「今の技術力が高いから」です。
いまの実績は、次のポジションの適性を保証しない
技術力トップの評価は、いまの職務における実績です。しかし課長という職務に必要なのは、技術力ではなく、部下の状態を見る力、任せる力、評価を言語化する力といった別の能力です。今の職務で優秀だから昇格させると、次の職務に必要な力が足りない段階でつまずくことがある——これはよく知られた組織の落とし穴で、ピーターの法則と呼ばれます。
本人にマネジメント経験が無いなら、なおさらです。技術力の高さは、次のポジションで通用するかどうかについて、実は何も証明していません。
昇格の前に、素振りをさせる
昇格を決める前に確かめるべきは、本人の意欲でも、給与テーブルの整合性でもありません。次の競技を、小さく素振りさせているかどうかです。
- 後輩1人の育成計画を、正式な役職の前に一度任せてみる
- 評価会議に同席させ、評価をどう言葉にするかを見てもらう
- 小さなチームのタスク配分を、期間限定で任せてみる
これらを経ずにいきなり課長という肩書きと役割を渡すと、本人は技術者としての勝ち方しか知らないまま、まったく別のゲームに放り込まれます。うまくいかなかったとき、多くの会社はここで「マインドの問題」と診断しますが、実際には準備の設計が足りていないだけのことが多いです。
昇格は「肩書き」だけでは終わらない
役職を渡すというのは、肩書きを渡すことだけを意味しません。権限、評価の仕方、相談できる相手、そして期待値——これらがセットで渡っていないと、本人は肩書きだけを背負って孤立します。管理職という制度そのものが機能しているかどうかは、また別の論点としてこちらの回で扱っています。今回の話は、その手前——誰を昇格させるかを決める瞬間の話です。
昇格を後戻りできる形にしておく
もう一つ有効なのは、昇格を一度きりの不可逆な決定にしないことです。「まず半年、課長代理として動いてもらい、本人と会社の両方で見極める」といった段階を設けておけば、合わなかったときに双方が傷つかずに戻れます。技術者としての評価と、管理職としての評価を切り分けておくことも、この戻りやすさを支えます。
任命のときに何を渡しているかは、任命の4点セットの回も参考になります。自社の育成・評価の設計は組織診断(14問・3分)で確認できます。
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