取適法の禁止行為——名目を変えた減額は、減額である
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取引先から「協賛金として、代金から一部を引かせてください」と言われ、断りづらいのでそのまま応じた——この対応、取適法の観点では自社が違反行為に加担したことになります。
減額は「理由を問わず」禁止
取適法(旧・下請法)は、発注後に理由なく代金を減らすことを禁じています。ここで大事なのは、名目が何であれ同じ扱いになるということです。「協賛金」「歩引き」「振込手数料の一方的な負担」も、名目を変えた減額として扱われます。
線は明快です。決まる前に交渉するのは自由、決まった後に減らすのは違反です。相見積りを取って条件の良い会社に発注することや、次期の単価引き下げを交渉して合意することは問題になりません。問題になるのは、いったん決まった代金を、あとから一方的に動かすことです。
減額だけではない、禁止行為の一覧
取適法が禁じる行為は減額だけではありません。受領拒否、支払遅延、返品、買いたたき、購入・利用の強制、報復措置——いずれも禁止されています。そして2026年1月の改正で、「手形払い」と「協議に応じない一方的な代金決定」が新たに加わりました。
一つひとつを覚えるより、「相手の都合を後から一方的に押し付けていないか」という一点で見るほうが実務では速く判断できます。合意や金額の小ささは、免罪符になりません。
「相手が断らなかった」は、合意の証拠にならない
減額や支払遅延が問題になる場面の多くは、相手が明確に拒否しなかったことを理由に「合意の上だった」と扱われています。しかし取適法が想定しているのは、対等な交渉ではなく、発注する側が優位な立場にあることを前提にした関係です。相手が断らなかったのは納得したからではなく、今後の取引を失いたくなかったから、というケースのほうが実際は多い。断られなかったことを盾に取るのは、この法律の趣旨からいちばん遠い振る舞いです。
自社が「委託側」になる場面も忘れない
この法律は、自社が受け入れる側だけの話ではありません。自社が下請けの受託事業者に発注する場面では、自社が委託事業者として義務と禁止行為の対象になります。商流の中にいる以上、自社は守られる側にも、守る側にもなります。
発注に関わる担当者全員が、この線を知らずに悪意なく事故を起こす、というのがいちばん多いパターンです。委託側の義務そのものはこちらの記事で扱っています。
自社の発注・受注の実務は経営者・幹部の型で確認できます。自社の状態は組織診断から。
一次情報
公正取引委員会は、委託事業者に4つの義務と11の禁止項目を課しています。この記事で扱った減額はそのうちの1つで、2026年1月に加わった「協議に応じない一方的な代金決定」は11番目です。全項目は下の資料で1枚にまとまっています。
- 取適法(公正取引委員会) — 制度全体の入口
- 2026年1月から「下請法」は「取適法」へ!(リーフレット・PDF) — 11の禁止項目の一覧と、それぞれの中身
- 中小受託取引適正化法テキスト(PDF) — 公正取引委員会・中小企業庁
- 取適法勧告一覧 — 実際に勧告された事例
2026年8月時点の制度に基づいています。実際の判断は、専門家の助言の代わりにはなりません。
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