SESOSc
2026-07-22|読了 約2収益性数字

1人あたり粗利で会社を見る——SESの損益分解

📗 SES経営のOS|収益性1

「売上は毎年伸びています。でも、利益が残らないんです」——SES経営の相談で最も多いパターンです。

原因はたいてい経営の怠慢ではなく、見ている数字の単位が大きすぎることにあります。会社全体の売上と利益だけを見ていると、その中で何が起きているかが見えません。SESの損益は、1人単位まで分解できます。そして分解すると、打ち手まで一直線につながります。

SESの利益の構造は、実はシンプル

会社全体の利益は、突き詰めればこうです。

利益 =(単価 − 人件費フルコスト)× 稼働人数 − 待機コスト − 本社コスト

このうち経営者が毎月見るべき最小の単位が、1人あたり粗利(単価 − その人のフルコスト)です。

フルコストで見る——給与の1.35倍

ここで多くの会社が間違えます。「単価60万・給与32万だから、28万残る」——残りません。給与には社会保険料の会社負担と賞与引当が乗ります。概算で給与×1.35がフルコストです。

  • 単価60万 − フルコスト43.2万(32万×1.35)= 1人あたり粗利16.8万円/月

この「1.35」を知らずに給与や還元率を設計すると、稼働しているのに儲からない構造が静かに出来上がります。詳しくは待機コスト計算機でも同じ係数を使っています。

まず「赤字稼働」を探す

全メンバーの単価とフルコストを並べると、たいてい発見があります。

単価がフルコストを下回っている稼働(赤字稼働)が、数名混ざっている。

昔の単価のまま据え置かれたベテラン、育成枠のつもりが単価交渉されていない若手、付き合いで安く出している案件。1人月5万円の赤字でも、3人いれば年間180万円——利益が「残らない」のではなく、先に消えているのです。

健全ラインの目安

会社や商流によって幅はありますが、目安としてはこうです。

指標目安
1人あたり粗利率25〜30%(単価60万なら粗利15〜18万)
本社コスト売上の10〜15%
営業利益率10%前後が出ていれば健全

粗利率が20%を切っているなら、原因は単価か給与設計かのどちらかです。営業利益率が数%しかないなら、赤字稼働・待機・本社コストのどれかが食べています。分解すれば、どれかは必ず特定できます。

月次で見る数字は3つでいい

経営会議で30個の数字を眺める必要はありません。SESなら3つで足ります。

  1. 1人あたり粗利(平均と分布)——赤字稼働はいないか
  2. 待機人月——今月、何人月が空いたか(年間シミュレーションで年額換算すると優先度がわかります)
  3. 平均単価の前年比——据え置きは実質値下げ。上がっていなければ単価交渉が止まっている

ひとつ補足すると、月次で利益がぶれて見える会社は、賞与月に費用が集中しているだけのことが多い。賞与は月割で引当てて平準化すると、経営の実力が毎月同じ物差しで見えるようになります。


利益は最も遅く動く計器です。赤くなってから慌てるのではなく、1人あたり粗利という早い数字で先に気づく——それが収益性のマネジメントです。自社の計器の現在値は組織診断(14問・3分)でどうぞ。

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仲の良い社長に

SES経営の記事、うちにも当てはまるなと思って共有です 「1人あたり粗利で会社を見る——SESの損益分解」 https://sesos.jp/articles/hitori-atari-arari

社内のメンバーに

これ、うちでも同じことが起きてないか話したいです 「1人あたり粗利で会社を見る——SESの損益分解」 https://sesos.jp/articles/hitori-atari-arari

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