年収ランキングの1位と26位、差の334万円はどこから来るか
この記事は〈見えない値札〉の話です。いまのあなたの現在地は、3分の自己診断で測れます。無料・登録不要です。
「SES・技術者派遣の平均年収ランキング」が、Xで11万回以上表示されていました。1位が690万円、26位が356万円。差は334万円。
これに「同じお客先で働いていても、所属会社が違うだけでここまで差が出る」という反応が付いていました。その読みは正しいです。ただし、その数字をそのまま自分に当てはめると、間違えます。この記事は、その差し引きの仕方を書きます。
この数字は、何の平均か
出典はOpenMoneyという給与データベースで、働いている本人が投稿した年収を会社ごとに平均したものです。登録35万人、掲載2万社、給与データ25万件(2026年9月時点)。運営の審査を通ったものだけが載ります。
1社ずつ開くと、平均の元になった人数が出ます。たとえば2位の会社は年収データ60件、回答者の平均年齢は32.2歳。年収の中央値は650万円で、幅は400万〜1,200万円。
つまりランキングの1行は、その会社の全社員の平均ではなく、投稿した数十人の平均です。数千人規模の会社でも、載っているのは数十人ぶん。
そしてもう1つ。26位の回答者の平均年齢は26.5歳、1位は32.7歳。6歳違います。334万円の差のうち、いくらかは年齢の差です。年齢を揃えずに会社どうしを比べると、年齢の分まで「会社の差」として読んでしまう。
運営自身が、こう書いています。「この動きだけでは、水準そのものが変わったのか、回答した人の顔ぶれが変わったのかまでは分かりません」。誠実な注記だと思います。
それでも「会社で変わる」は本当
数字の限界を書きましたが、結論は変わりません。同じ仕事でも、所属会社で手取りは変わります。ランキングは、それを表しています。
理由は、SESの年収がこう決まっているからです。
年収 = 単価 × 稼働した月数 × 還元率 − 待機の影響
ランキングに出るのは、この計算の結果だけです。でも、自分の会社の数字なら分解できます。
- 単価……営業に聞くか、単価の逆算で見当をつける
- 還元率……月給 ÷ 単価。ここが会社ごとにいちばん違う
- 待機……待機中の給与が出るか、いくら出るか
「高還元」は、実は普通
2位の会社は、単価と還元率の公開を方針にしている会社です。公開されている還元率は68%。
ここで1つ、比べる材料があります。厚生労働省が公表している労働者派遣のマージン率は、全国7,157事業所の中央値で32%(2025年度公表分)。マージン率32%は、還元率でいえば68%です。
つまり、「高還元」を掲げる会社の68%は、全国の真ん中あたりです。高いのではなく、普通。普通より低い会社が、それだけ多いということでもあります。
自分の会社が真ん中のどちら側にいるか。会社別の還元率(公開値)に、法律で公開されている会社別の数字を出典つきで並べてあります。月給÷単価で出した自分の数字を入れると、その中のどのあたりかが出ます。
見るべきは率ではなく、「説明できるか」
もう1つ、ランキングから読めることがあります。年収と満足度は、一致していません。
年収4位の会社の満足度は2.50、年収2位の会社は4.79。17位の会社は年収482万円で満足度3.50、24位は423万円で2.00。金額の順に並んでいない。
満足度1位だったのは、単価と還元率を公開している会社でした。偶然ではないと思っています。いくらで、どう決まったかを会社が言えるかどうか。率の高さより、そこが効いているように見えます。
できることを、順番に
① 自分の単価を知る。知らないまま「安い」と感じているなら、まず数字にする。営業に聞いても答えが無いなら、単価の逆算で見当をつける。
② 還元率を出す。月給÷単価。これだけで、自分がランキングのどの帯にいるかが分かります。
③ 真ん中のどちら側かを見る。中央値の68%より上か下か。下なら、その理由を会社が説明できるか。
④ 動くかどうかは、それから決めていい。知ることと交渉することは別です。まず知る。
最後に
ランキングは「会社で変わる」ことを教えてくれます。でも、あなたがいくら変わるかは教えてくれません。それは自分の単価と還元率を出して、初めて分かる数字です。
見えない値札を、見えるようにする。動くのは、それからで間に合います。
出典:OpenMoney「【SES・技術者派遣】平均年収ランキング」(2026年9月4日投稿・26社)/厚生労働省「労働者派遣事業報告」に基づくマージン率(SESの数字に集計と出典を掲載)
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