「ちょっとだけ」で頼まれる、契約に無い作業
この記事は〈現場ガチャ〉の話です。いまのあなたの現在地は、3分の自己診断で測れます。無料・登録不要です。
「ちょっとだけ、これもお願いできる?」
常駐先で、契約に無い作業を頼まれる。議事録、別チームの問い合わせ対応、サーバーの様子見、夜間の立ち会い。一つひとつは小さくて、断るほどのことでもない気がする。
断ると角が立つ。受けると、次から当たり前になる。どちらを選んでも、少しずつ苦しくなっていきます。
その場で断らなくていい
まず大事なことを先に言います。この線を引くのは、あなたの仕事ではありません。
SESの多くは準委任契約です。何をするかは、会社と客先のあいだの契約(注文書や個別契約)で決まっています。範囲を広げるなら、それは会社と客先が話し合って、単価や期間と一緒に決め直すことです。
常駐しているあなたが、その場で「それは契約外です」と言う必要はありません。言えば角が立つのは当たり前で、そもそも、本人に言わせる形になっていることが仕組みの穴です。
ただ、黙って受け続けると、範囲は静かに広がります。だから、断る代わりに「預かる」。
線を引くための3つの手順
1. その場では「確認します」と預かる
「やります」とも「できません」とも言わずに、「担当の営業に確認してから返事します」と預かります。
失礼な言い方ではありません。準委任では、業務の範囲を決めるのは会社同士なので、むしろ筋の通った返事です。急ぎで本当に困っている依頼なら、客先から営業に話が行きます。
2. 頼まれたことを、その日のうちに書き留める
日付、誰から、何を、どれくらいの時間。1行でかまいません。
- 9/12 ◯◯さんから 別チームの問い合わせ対応 約1時間
- 9/19 ◯◯さんから 夜間リリースの立ち会い 22時〜24時
記録があると、「なんとなく増えた気がする」が数字で話せるようになります。後で営業に伝えるときも、記憶ではなく記録で話せます。
3. 週に一度、まとめて営業に送る
1件ずつ相談すると、それ自体が負担になります。1週間分をまとめて、短く送れば十分です。
今週、契約の範囲外と思われる依頼が2件ありました(一覧を貼ります)。 受けるかどうか、客先とすり合わせをお願いできますか。 続くようなら、範囲か単価の見直しの材料にしてください。
ここで大事なのは、判断を営業に渡すことです。あなたが決めて抱え込むのではなく、決める人のところに材料を届ける。
受けてしまった作業は、無駄ではない
もう受けてしまった作業も、記録しておく意味があります。
範囲外の作業が続いているのは、客先があなたを頼りにしている証拠でもあります。それは、次の契約更新で単価を見直す根拠になります。営業がそれを知らなければ、材料にはなりません。
逆に、営業に伝えても何も変わらないなら、それも一つの情報です。線を引くのが会社の仕事なのに、会社がそれをしない。その場合は、現場ガチャを引き直すことを考えてもいい時期かもしれません。
指示が客先から直接来ていたら
もう一つ、見ておきたい点があります。作業の中身だけでなく、誰から指示が来ているかです。
準委任では、客先があなたに直接、細かく指示を出す形は本来想定されていません。「ちょっとだけ」が毎日のように客先の人から直接来ているなら、それは範囲の問題だけでなく、契約の形そのものの問題かもしれません。気になる人は、偽装請負のチェックで12項目を確かめてみてください。
「ちょっとだけ」を断れないのは、あなたが弱いからではありません。断らせる形になっていることの方が、おかしいのです。その場では預かって、記録して、決める人に渡す。それだけで、抱え込まずに済みます。
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