1年後に単価+5万——逆算育成の型
📗 SES経営のOS|育成・評価 第1講「うちは現場で育てる方針です」——方針に聞こえますが、多くの場合これは方針ではなく無計画の言い換えです。現場任せの育成では、成長は配属先の運で決まります。いい現場に当たった人は伸び、単純作業の現場に当たった人は1年後も同じ場所にいる。配属ガチャです。
育成の型とは、このガチャを設計に置き換えることです。そして設計のコツは、ゴールをスキルではなく単価に置くことにあります。
なぜ「単価」をゴールにするのか
「Javaができるようになる」はゴールに見えて、測れません。「1年後、単価+5万円で更新交渉が通る状態」はゴールです。測れて、期限があり、会社の利益と本人の昇給に直結しているからです。
そして単価が上がる理由は、突き詰めれば一つしかありません。役割が広がることです。テスターが実装を持つ。実装者が設計とレビューを持つ。メンバーが後輩の面倒を見る。使う側の本音①で書いたとおり、値上げの稟議材料は役割の変化です。だから育成の型は「スキル習得計画」ではなく、役割拡大の計画として作ります。
逆算の5ステップ(A4一枚でいい)
- 現在地を書く——現単価と、いま現場で担っている役割
- +5万で売れる役割を定義する——顧客がお金を払う変化は何か。「テスト設計まで巻き取れる」「小さな改修なら一人で完結する」など、顧客の言葉で書く
- 必要スキルを3つに絞る——その役割に足りないものを3つだけ。10個書く計画は実行されません
- 四半期のマイルストーンに割る——3か月ごとに「できるようになっていること」を1行ずつ。1on1(月1の場)で進捗を確認する
- 現場に役割拡大を打診する——ここが最重要で、本人ではなく会社の仕事です。1on1で現場状況を拾い、営業が現場リーダーに「◯◯も担当させてもらえないか」を打診する。役割は待っていても広がりません
1年後、役割が実際に広がっていれば、単価交渉は「お願い」ではなく根拠のあるすり合わせになります。
本人の動機と接続する
この型が回り出す条件がひとつあります。単価が上がったら、本人の給与も上がること。単価連動の還元ルールがあれば、育成計画は会社の押し付けではなく、本人の昇給計画になります。逆にここが切れていると、「会社が儲かるために頑張れ」にしか聞こえません。
まず1人から。制度化はその後
全社員分の育成計画を一斉に作ろうとすると、たいてい制度設計の会議で止まります。順番は逆です。若手を1人選び、この型を回し、1年後に単価+5万を実際に取る。その1例が、型が機能する証明であり、他のメンバーへの何よりの説明になります。
育成は福利厚生ではなく、単価を作る生産設備です。設備投資と同じで、回収計画(=単価)から逆算して設計する——それだけの話です。
育成の型が文書として存在するかは、組織診断(14問・3分)の育成・評価領域で問うています。
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