「何のためにこの会社をやるのか」に3秒で答えられるか
📗 SES経営のOS|ビジョン 第1講社長への質問でこれほど単純で、これほど答えられないものはありません。
「何のためにこの会社をやっているんですか?」
3秒で答えられるでしょうか。「利益のため」は答えになっていません。利益は結果であって目的ではない——それは社長自身が一番わかっているはずです。
答えの空白は、最悪の言葉で埋まる
社長が答えを持っていなくても、社員は答えを必要としています。案件を選ぶとき、顧客に踏み込むかどうか迷うとき、転職サイトを眺めるとき——判断には基準が要るからです。
会社が基準を渡さなければ、社員は自分で埋めます。そして空白を埋める言葉は、たいてい最悪のものになります。
「この会社は、売上のためにやってるんだろう」
そう解釈された瞬間、社員とあなたの関係は「労働と対価の交換」だけになります。給与で入り、給与で辞める。単価で動き、単価で去る。——あなたの会社が「給与でしか比較されない会社」になっていく仕組みは、ここから始まります。
ビジョンとは、綺麗な言葉ではなく「判断基準」である
ビジョンと聞くと、額縁に入った立派な言葉を想像しがちです。違います。実務でのビジョンの正体は、
迷ったとき、どちらを選ぶかを決める関数
です。「目先の売上と社員の成長が衝突したら、どちらを取る会社か」「単価は良いが人を潰す現場に、人を出す会社か」。この問いに一貫した答えを返せる基準——それがあれば、言葉が多少不格好でもビジョンとして機能します。
客先常駐のSESでは、この関数の重要性が跳ね上がります。企業文化の回で書いたとおり、SESの社員は勤務時間のほぼすべてを「社長がいないとき」として生きています。散らばった現場で社員が持ち歩ける判断基準は、インストールされたビジョンと文化だけです。
作り方:気取らなくていい
立派である必要はありません。手順は3つです。
- 正直に思い出す——なぜ起業したのか。なぜ辞めずに続けているのか。「あの会社のやり方が嫌だった」でもいい。嫌だったものの裏返しは、そのまま目指すものです
- A4一枚に書く——「この会社は何のためにあるか」「迷ったら何を優先するか」の2つだけ。美文にしない。会議で配って恥ずかしくない程度でいい
- 全社員に、自分の言葉で話す——資料送付ではなく、口頭で。質問を受ける。うまく答えられなかった質問が、次に磨くべき場所です
テスト方法
完成したかどうかは、社長ではなく社員が決めます。テストは簡単です。
社員3人に「うちの会社って、何のためにあると思う?」と聞く。
3人の答えがバラバラなら、まだビジョンは存在していません。同じ方向の言葉が返ってきたら——多少表現が違っても——あなたの会社にはカーネルが入っています。
自社の現在地は組織診断(14問・3分)で確認できます。ビジョンの項目が低い会社は、他のどの施策より先にここに手を付けることをおすすめします。カーネルが空のOSでは、どんなアプリも正しく動かないからです。
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