単価交渉を「お願い」にしない——据え置きは実質値下げである
📗 SES経営のOS|営業・単価 第1講「単価交渉が苦手」というSES営業・経営者は多い。しかし前提を一つ直すだけで、交渉の景色は変わります。
物価と給与相場が上がり続ける環境では、単価の据え置きは実質値下げです。交渉しないことは「現状維持」ではなく、毎年数%ずつ値下げに応じていることと同じ——まずこれを社内の共通認識にしてください。
交渉を「お願い」にしないための3つの数字
単価交渉が「お願い」になるのは、根拠を持たずに臨むからです。次の3つの数字を揃えると、交渉は「すり合わせ」になります。
1. 市場相場との差分
同スキル・同経験年数のエンジニアが、いま市場でいくらで取引されているか。案件サイトやエージェントの公開情報から、職種×経験年数の相場表は作れます。自社メンバー全員の現単価と市場相場の差分表が交渉の土台です。
2. 提供価値の変化
参画から今日までに、その人が担う範囲はどう変わったか。「参画時はテスターだったが、いまは設計とレビューまで見ている」——役割の変化は、単価改定の最も正当な根拠です。半期ごとに役割の変化を記録しておくと、交渉時に慌てて思い出す必要がなくなります。
3. 継続によって顧客が節約しているコスト
交代が発生した場合、顧客側にはオンボーディングコスト(受け入れ、環境整備、キャッチアップの1〜2か月)が発生します。継続はそのコストをゼロにしている。つまり継続自体が顧客への提供価値です。
切り出し方の型
「◯◯の役割がこの半年で△△まで広がっています。市場相場と比べても現単価とは差が出ているため、次回更新のタイミングで◯万円の改定をご相談させてください。」
ポイントは3つ。更新タイミングに合わせる(期中の変更は顧客側の稟議が重い)、金額を明示する(「上げてほしい」ではなく「◯万円」)、断られても関係を壊さない(今回は据え置きでも、次回更新の交渉テーブルには乗った)。
会社としてやるなら
単価交渉を営業個人の胆力に任せている会社は、営業が変わると単価も止まります。
- 全メンバーの単価改定履歴を管理する(最終改定から1年超えをアラートに)
- 半期に一度、改定候補リストを営業会議の定例議題にする
- 改定に成功したら、本人に還元する(単価連動の仕組みがあれば、エンジニア自身が単価を上げる動機を持つ)
単価は経営の意思で上がります。祈りでは上がりません。
この記事は役に立ちましたか?
この記事、誰かの顔が浮かびましたか
そのまま送れる文面です。LINEならワンタップ、SlackやDMには共有・コピーで。