客先常駐の最大リスクは「放置」——SESの1on1は、現場任せにしない
📗 SES経営のOS|マネジメント 第1講SESのマネジメントには、他業種にない構造的なハンデがあります。社員が物理的に、会社の外にいる。意図して接点を設計しなければ、会社と社員の接点は「契約更新のとき」だけになります。これが放置です。
放置は、何もしていないように見えて、実際には3つの損失を静かに生み続けています。
放置が生む3つの損失
1. 帰属意識の移転
常駐エンジニアが毎日顔を合わせるのは、顧客と現場のメンバーです。会社との接点がなければ、帰属意識は自然に案件側へ移ります。こうなると退職は「会社を辞める」ではなく、「案件が終わったから辞める」という形でやってきます。現場の人間関係の悪化や案件終了が、そのまま退職トリガーになる。会社は最後まで理由を知りません。
2. 単価の機会損失
現場での成長——担当範囲の拡大、レビューを任された、後輩の面倒を見ている——を会社が知らなければ、単価交渉の根拠を持てません。使う側の本音①で書いたとおり、値上げの稟議材料は現場にしか落ちていません。拾う仕組みがなければ、毎年据え置き=実質値下げが続きます。
3. 問題の発見遅れ
勤怠の乱れ、メンタルの不調、現場トラブル。どれも兆候の段階では小さく、月1回見ていれば「兆候」のうちに打てます。年1回の更新面談でしか見ていなければ、知るのは事故になってからです。
最小の設計:月1回・30分・議題は3つ
毎週やる必要はありません。続かない設計が、一番悪い設計です。
- 頻度:月1回・30分・オンラインでいい
- 議題は3つに固定:
- 現場の実情——仕事内容・負荷・人間関係。「順調です」で終わらせず、具体的に何をしているかを聞く
- キャリアの方向——伸ばしたいスキル、次にやりたいこと。単価交渉と案件選択の材料はここから出る
- 会社からの情報——会社の動き・数字・他メンバーの様子。帰属意識は「知らされていること」から生まれる
- 記録を残す——次回「前回言っていたあれ、どうなった?」が言えるかどうかが、信頼の分岐点です
やってはいけない3つ
- 数字詰めの場にする——稼働報告会になった瞬間、本音は二度と出てきません
- 雑談だけで終える——「話は聞いてくれるが、何も変わらない」は、放置より悪い学習を生みます
- 営業の「ついで面談」だけで済ませる——商談の温度と個人の温度は別物です。分けてください
誰がやるか
社長が全員と話せるのは、経験上10名前後までです。それを超えたらリーダー層に分担します——そしてこの分担自体が、次の管理職を育てる一番実践的な研修になります。ただし任せるのは「場」であって「責任」ではありません。聞いた内容が月次で会社に還流する仕組み(記録と共有)までを設計して、はじめてマネジメントです。
マネジメントは才能ではなく設計です。予定表に固定された月1回の30分は、退職面談の1時間より何倍も安い。自社のマネジメントが機能しているかは、組織診断(14問・3分)で確認できます。
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