リーダー・マネージャーのOS|ケースの部屋
実務の難所を、型で解く
記事が平時の教科書なら、ここは有事の手引きです。すべて架空の、 でもどこのSESにもある話。 誰が悪いかではなく、構造と次の一手だけを扱います。答えは断言しません—— 型と問いを渡すので、判断はあなたに残します。
チームのメンバーの遅刻が、月に1回から、週に1回になってきた。本人に聞くと「すみません、気をつけます」と言う。素直だ。でも、繰り返す。
客先の担当者から「大丈夫ですか」と言われたのは先週。言葉は柔らかいが、視線はあなたに向いている。あなたは、本人と客先と自社の三方向の板挟みになりつつある。
正直、苛立ちもある。「社会人として当たり前のことでは?」という言葉が、喉まで出かかっている。
まず、自分で考える(読み進める前に)
- Q1「事実」と「あなたの解釈」を分けると、手元に何が残りますか?(「たるんでいる」は、どちらでしょう)
- Q2本人の口から、何を言わせたいですか?(あなたが言わせたい反省の言葉、ではなく)
- Q3この件で、あなたの預かり範囲はどこまでですか?
SESOS流の型
① まず、事実だけを記録する
「いつ、何分の遅刻が、何回」。日付と回数だけをメモにする。「最近たるんでいる」「やる気がない」は全部解釈なので、記録に混ぜない。この記録は本人を追い詰める材料ではなく、あなたの苛立ちを事実に戻す装置であり、後で上と共有する時の唯一の共通言語になる。
② 詰問ではなく、1on1の場で
遅刻を議題にした面談を設定すると、相手は謝罪の準備をして来る——謝罪は10秒で終わり、何も分からない。ふだんの1on1の「今日は、何について話したい?」から入り、相手が話し切った後に「最近、朝がしんどそうに見える。何かある?」と事実ベースで置く。答えを急がない。
③ 背景の仮説を、狭めずに持つ
体調(睡眠・メンタル)、家庭の事情、現場との不適合、仕事への意欲、金銭問題——勤怠の崩れは「原因の見えない発熱」で、原因ごとに打ち手が全く違う。決めつけて説教した相手が、実は通院を隠していた——という失敗は、この業界に山ほどある。
④ 預かり範囲の線を引く
勤怠が現場に与える影響を管理するのは、あなたの仕事。本人の生活や人生の問題を解決するのは、本人のもの。あなたにできるのは、話せる場を作ることと、会社の制度(時差・休職・現場変更)に繋ぐことまで。ここを混ぜて「あの人を立ち直らせるのは自分の使命」にすると、あなたが折れる。
⑤ 上へは、事実で早めに
①の記録をそのまま共有する。「彼はたるんでいます」と報告すれば人物評になり、本人の逃げ道を塞ぐ。「この2ヶ月で遅刻がn回。本人と対話中。現場影響はこう抑えている」なら、状況報告になる。一人で抱えて限界の日に爆発させるのが、一番まずい。
やってはいけないこと
- ・現場(客先・メンバーの前)で叱る——直る確率は上がらず、信頼だけが減る
- ・かばって遅刻を隠す——発覚した日に、あなたが管理不全の側になる
- ・一人で抱えて、限界まで上に言わない
あわせて読む:事実と解釈の切り分け/2:8の対話の技術/上への伝え方(中間の技術)
📮 自分のケースを出す
Pro(準備中)・月1通いま直面している難所を、匿名で出せます。会社名・人名は書かないでください—— 構造だけで十分伝わりますし、構造でしか答えられません。
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