社長の前に、直属の上司——敵にしない技術
会社を変えたいと思ったリーダーがよくやる失敗が、2つあります。上司を飛ばすことと、上司を敵と認定することです。
上司を飛ばして直訴すると、一時的には聞いてもらえるかもしれません。でも飛ばされた上司は面子を潰され、以後、あなたの提案の関所は閉まります。敵認定はもっと安上がりで、もっと高くつきます。「あの人は分かってくれない」と決めた瞬間、考えることをやめられて楽になりますが、あなたの提案が通る道はひとつ減ったままです。
上司も「教わらないままなった人」
思い出してください。あなたはマネジメントを教わらないままリーダーになりました。あなたの上司も、そうだった可能性が高い。
一度、リーダーの現在地の3つの罠を、上司に当てはめてみてください。上を向くように作られた椅子に、あなたより長く座らされてきた人ではないか。昔なにかを提案して、通らなくて、静かに諦めた人ではないか。全部自分で抱えて、余裕を失っている人ではないか。
罠が見えてくると、腹の立つ相手が「構造の中で疲れている人」に見えてきます。理解は服従ではありません。動かすための第一歩です。
技術は3つ
① 上司の言葉で話す。あなたの提案は、上司にとって「自分の上に持っていく荷物」です。荷物は、持ちやすい形にして渡す。上司が上司の上司に説明する場面を想像して、そのまま使える言葉・数字・一枚にまとめてから持っていってください。「翻訳の手間」を渡さないことが、通る提案の最低条件です。
② 手柄を渡す。提案が通ったとき、それが「上司の成果」になる形を先に作っておく。悔しいですか?——あなたの目的は手柄ではなく、変えることだったはずです。手柄を渡した相手は、次のあなたの提案の味方になります。手柄は減るものではなく、貸せるものです。
③ 上司の痛みを先に消す。上司が首を縦に振らないのは、内容が悪いからではなく、上司自身のリスクが見えるからのことが多い。失敗したら誰が詰められるか、面倒が増えるのは誰か。その答えを提案に同梱してください。「失敗したらこう畳みます」「手間はここで吸収します」——リスクの答えが先に付いた提案は、断る理由がなくなっていきます。
上司は練習台ではなく、最初の本番
鏡としての組織(上級編)で、社長を動かす話を書きました。でも順番があります。直属の上司を動かせない人が、社長を動かせることは、まずありません。
あなたと社長の間にいる人を、ひとりずつ味方にしていく。遠回りに見えて、それが会社で一番速い道です。
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