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単価はどうやって決まっていたか——査定の裏側 使う側の本音③
前回は面談の裏側を書きました。今回は、事業者が一番知りたいはずの話——単価は、使う側の机の上でどう決まっていたかです。
建前では、単価は「スキルと経験年数の相場」で決まることになっています。相場が存在するのは事実です。しかし個別の単価がその通りに決まるかというと、実際の査定は3つの力学で動いていました。
1. 先に「予算の枠」がある
使う側の担当者は、白紙に単価を書いているわけではありません。案件やチームには先に予算枠があり、その枠に収まるかどうかが第一の関門です。どれほど良い人でも、枠の外の単価は稟議のハードルが一気に上がります。
事業者への翻訳:単価交渉で「予算感はどのあたりですか」と聞くのはマナー違反ではありません。枠を知らずに提案するのは、的の位置を知らずに矢を射るのと同じです。
2. 比較の中の「位置」で見る
提案は、単独では評価されません。同じ枠に他社の提案が並び、比較表の中の位置で見られます。このとき効くのは「一番安いこと」ではなく、「この単価でこれができるのは妥当か」という納得感です。安すぎる提案はむしろ「何か裏があるのでは」と警戒されることさえあります。
3. そして最大の力学——「リスク料」
ここが今回の核心です。
使う側にとって、よく知らない人を受け入れることはリスクです。スキルシートが薄い、面談で手応えがない、実績の裏が取れない——情報が少ないほど、リスクの分だけ単価は安く見積もられます。値切りに見えるものの正体は、多くの場合「リスク料の控除」です。
この力学は、逆向きに使えます。
- 新規参画時の単価は「入場料」——情報がない状態の査定なので、リスク料が乗って安い。ここで粘りすぎるより、入ってから証明する方が早い
- 勝負は1回目の更新——稼働実績という情報がリスク料を消します。役割が広がっていれば(逆算育成の型)、更新時の改定は新規時よりはるかに通りやすい
- リスク料は事前にも減らせる——具体が書かれたスキルシートと、往復のできる面談(本音②)。つまり営業資料の質は、そのまま単価に換算されています
値切られるのは「代替が容易に見える」とき
もうひとつ、値下げ圧力の力学も単純です。この人の代わりはすぐ見つかる、と思われたときに値切られます。逆に「この人ならでは」が現場で言語化されていると——◯◯さんは仕様の背景まで分かっている、あの人がいるとチームが回る——値切る側にも稟議が必要になり、圧力は自然に弱まります。
唯一性は現場で生まれますが、言語化して顧客の記憶に残すのは営業の仕事です。定例の雑談で「◯◯はどんな動きをしていますか」と聞いて回るだけで、材料は集まります。
まとめ:単価は「情報の質」で決まっている
スキルが同じでも、情報の出し方で単価は変わります。予算の枠を聞き、比較の中の位置を設計し、リスク料を情報で消し、唯一性を言語化する——どれも技術投資ゼロで、今月からできることです。
次回は「切られる営業、指名される営業——使う側が本当に見ていた営業の行動」を書きます。