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🏢 経営向けの記事

2026-07-31|読了 約2分

原価をフルコストで見る——入れないと予実が嘘をつく

予実表では今月の粗利がプラスだった。なのに決算を締めると、思ったより利益が薄い——これを毎期繰り返している会社は、たいてい数字の作り方に同じ穴があります。

原価が「月給だけ」で計算されている

予実表のテンプレートは、たいてい一度作ったら誰も原価の定義を疑いません。多くの場合そこに入っているのは月給だけです。しかし技術者一人の原価には、会社負担の社会保険料(給与の15%前後)と、賞与・退職金の引当まで含める必要があります。概算で給与×1.35がフルコストです。

単価60万・給与32万の案件なら、月給だけで見れば28万残る計算に見えます。フルコストで見ると43.2万かかっているので、残るのは16.8万。差の11万円分だけ、予実表は毎月「実力より少し良い自分」を見せていることになります。

月給だけの原価表で起きる3つの症状

  • 決算のたびに驚く。年間を通じて積み上がった差が、期末にまとめて表面化する
  • 赤字稼働に気づかない。単価がフルコストを下回っている案件が、粗利プラスの顔をして紛れ込む
  • 甘い判断が通ってしまう。増員や還元率アップの意思決定を、実態より良い数字の上で決めてしまう

とくに危ないのは3つ目です。数字が甘ければ、その数字を根拠にした判断もすべて甘くなります。予実表は経営判断の土台なので、土台が歪んでいれば、その上に建てたものは全部歪みます。

賞与月だけ帳尻が合う会社は、平準化していない

もう一つよくあるのが、月次の利益が賞与月にだけ大きく落ち込んで見えるケースです。これは賞与を実際に払った月にまとめて費用計上しているために起きます。賞与は月割で引き当てて平準化すると、毎月同じ物差しで実力が見えるようになります。平準化していない予実表は、賞与月の前後だけ経営の実力が別人のように見えてしまいます。

直し方は1回でいい

原価の定義を直すのは、毎月の作業ではありません。テンプレートの原価セルの計算式を「月給×1.35」に一度書き換えれば、以降は自動で正しい数字が出ます。1人あたりの粗利で会社を見る方法そのものはこちらの回にまとめています。待機している人数がいるなら、その分の損失は待機コスト計算機で別途足して確認してください。

自社の予実表がどちらの原価で作られているか、月次の数字を見る日の運用と合わせて一度点検する価値があります。自社の計器の現在値は組織診断(14問・3分)でも確認できます。