SESOSe

🏢 経営向けの記事

2026-07-25|読了 約2分

損益分岐点は売上では動かない——固定費と限界利益率のどちらを触るか

「とにかく売上を伸ばせば、いまの苦しさは解決する」——経営会議でこの言葉が出たとき、それは半分だけ正しい判断です。

損益分岐点は「固定費 ÷ 限界利益率」で決まる

損益分岐点とは、利益がちょうどゼロになる売上高のことです。計算式はシンプルで、固定費を限界利益率で割った金額になります。この式をよく見ると、売上高そのものはどこにも入っていません。

だから売上を増やしても、分岐点という一点は動きません。動くのは「その分岐点をどれだけ楽に超えられるか」という話であって、「分岐点そのものが下がる」話ではない。忙しさと苦しさが比例したまま続く会社は、たいていこの二つを混同しています。

SESで分岐点を下げるのに効く2つ

分岐点を実際に動かすには、式の分子か分母を触るしかありません。

  • 固定費を減らす——間接部門の人数、オフィスコスト、本社機能にかかる費用。売上の10〜15%程度が目安で、これを超えているなら見直しの余地があります
  • 限界利益率を上げる——単価を上げる、あるいは変動費を下げる。SESで現実的なのは前者で、単価交渉が止まっている会社は、実質的にこの分母を毎年少しずつ悪化させています

固定費は一度下げると効果が長く続き、限界利益率は上げるのに時間がかかりますが、上がった分は継続して効きます。どちらも即効性は無いという点で共通しています。

「頑張って売る」だけでは、忙しさが増えるだけ

売上目標だけを掲げて分岐点を下げる手を打たないと、達成しても手応えが薄いという状態が続きます。分岐点が高いままなら、超えるための必要売上高も高いままだからです。忙しくなったのに楽にならないという感覚の正体は、たいていここにあります。

会議で確認すること

予算未達の会議で「売上をもっと」という結論に流れそうになったら、先に確認すべきことがあります。いまの固定費はいくらで、限界利益率は何%か。その2つの数字を先に置いてから、売上目標を立てているかどうかです。売上目標だけが独立して存在している会議は、分岐点という土台を動かさないまま、毎回同じ苦しさに戻っていきます。

自社の一人あたり粗利と限界利益率の見方はこちらの回、待機を減らして固定費の回収効率を上げる方法は待機コストの回にまとめています。組織全体の収益性は組織診断(14問・3分)でも確認できます。