SESOSe

🏢 経営向けの記事

2026-07-23|読了 約2分

黒字なのに金が無い——入金と支払いのサイトのズレ

急成長中で、決算は黒字。なのに毎月の資金繰りは、なぜか年々厳しくなっている——増員するほど楽になるはずなのに、逆の実感がある会社があります。

これは経営の失敗ではなく、SESという業態の構造です。まず構造を知らないと、原因を法人税や減価償却のせいにして探し続けることになります。

利益の話と、資金の話は別物

SESは月末締めの翌月末・翌々月払いが一般的です。売上が立ってから入金までに、1〜2か月のタイムラグがある。一方で給与は毎月、必ず出ていきます。

利益は「今月いくら儲かったか」を示す指標で、資金繰りは「今月いくら手元にあるか」を示す指標です。この二つは連動しているようで、実は動くタイミングがずれています。だから利益の数字だけを見て安心していると、手元の現金は別の理由で先に減っていきます。

伸びているときほど、資金は苦しくなる

このズレがいちばん厳しく効くのは、会社が伸びているときです。増員すればするほど、先に出ていく給与の総額が増えます。しかしその増員分の売上が入金されるのは1〜2か月先。つまり成長のスピードが速いほど、先出しする金額と、まだ入っていない金額の差が広がっていきます。

黒字倒産は、この構造の先で起きます。決算書の上では利益が出ているのに、手元の現金が給与や仕入れの支払いに間に合わない。帳簿の黒字と、口座の残高は、同じ会社の別の顔です。

経営として先に見ておく数字

決算が出てから慌てるのでは遅く、月次で先に確認しておくべき数字は次の2つです。

  • 現金残高が、月商の何か月分あるか——最後の安全装置。3か月分を下回ったら、他のどの議題より優先して手を打つ
  • 入金予定と支払い予定を、月ごとに並べた表——利益が出ている月でも、支払いが先に来る月があれば、そこで資金が細ります

これらは損益計算書には出てきません。利益を見る目と、資金を見る目は、別の帳票を用意しないと同時に持てません。

増員する前に、資金繰りの見立てを

採用や増員の意思決定をするとき、多くの会社は「単価×人数でいくら儲かるか」までは計算します。しかし「その人の給与を、入金より先に何か月分立て替える必要があるか」までを計算している会社は多くありません。成長を止める必要はありませんが、成長のスピードに資金繰りの手当てが追いついているかは、増員の前に確認しておく数字です。

自社の一人あたり粗利の見方はこちらの回、月次で見るべき数字の全体像は数字を見る日の回にまとめています。毎月の数字はカルテでも追えます。組織全体の状態は組織診断(14問・3分)でどうぞ。