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🏢 経営向けの記事

2026-08-11|読了 約2分

36協定と上限規制——特別条項があっても越えられない線

客先が繁忙期を迎え、「今月だけ月100時間残業してほしい」と言ってきた。特別条項付きの36協定はすでに締結済み——この状況で、依頼にそのまま応じてよいでしょうか。

上限規制は、2019年から「罰則つき」になった

2019年(中小企業は2020年)から、時間外労働の上限規制は罰則つきになりました。原則は月45時間・年360時間です。特別条項を結んだ場合でも、次の枠は動かせません。

  • 年720時間まで
  • 単月100時間未満(休日労働を含む)
  • 複数月の平均80時間以内(休日労働を含む)
  • 月45時間を超えられるのは年6回まで

「特別条項があるから大丈夫」の落とし穴

冒頭の依頼を、特別条項があるからという理由だけで受けると危険です。単月100時間未満という上限は、年間720時間の枠に収まっているかどうかとは無関係の、独立した縛りだからです。年間の合計にまだ余裕があっても、単月で100時間ちょうどの依頼を受ければ、その時点で一線を越えます。

複数月平均80時間以内という枠も同様に見落とされがちです。今月は80時間台で収まっていても、前後の月と平均して80時間を超えていれば違反になります。月単位で見て安心してしまうと、平均の枠で足元をすくわれます。

協定を守る責任は、客先ではなく自社にある

SESは客先の繁忙にどうしても引きずられます。しかし36協定を結び、その内容を守る責任は、雇用主である自社にあります。「客先からの依頼だから」は、労働基準監督署に対する説明にはなりません。

繁忙期の依頼を受けるかどうかを現場任せにせず、上限にどれだけ近づいているかを幹部が把握できる仕組みを持つ必要があります。安全配慮義務の視点からはこちらの記事、割増賃金の率についてはこちらの記事で扱っています。

自社の労務まわりの状態は経営者・幹部の型で確認できます。棚卸しは組織診断から。

2026年8月時点の制度に基づいています。実際の判断は、専門家の助言の代わりにはなりません。