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🏢 経営向けの記事

2026-07-27|読了 約2分

離職率を下げる前に測るもの——在籍者アンケートでは辞めた理由は出てこない

「在籍社員へのアンケートで、職場の満足度は平均80点でした。だから離職の原因は職場外にあると思います」——人事からこの報告を受けたら、一度立ち止まってください。

残っている人に聞いても、辞めた理由は出てこない

このアンケートには、構造的な抜けがあります。回答しているのは、辞めなかった人だけです。満足度80点は、いま在籍している人たちの平均点であって、辞めていった人たちの本音は最初から含まれていません。これを生存者バイアスと呼びます。事故で墜落した機体だけを見て「ここは頑丈だった」と判断するのと同じ誤りが、離職率の分析でも普通に起きます。

在籍者アンケートが無意味なわけではありません。ただし、それは「いま残っている人の状態」を測る道具であって、「辞めていく理由」を測る道具ではない、という区別が必要です。

離職率という1つの数字は、原因を隠す

離職率という数字も、実は原因を教えてくれません。入社1年以内に辞める人が多いのか、3年目前後で辞める人が多いのかで、原因も打ち手もまるで違うからです。

  • 入社1年以内が多いなら、原因はたいてい受け入れとオンボーディングにある
  • 3年目前後が多いなら、原因はたいていキャリアの停滞感にある

この2つを合算して「離職率◯%」という1つの数字にした瞬間、どちらの問題なのかが見えなくなります。分けて数えて初めて、対策の的が絞れます。

測るべきは、辞めた人の「段階」と「言葉」

離職率を下げたいなら、まず測るものを変える必要があります。

  1. 退職者を、在籍期間の段階別に分けて数える——1年未満・1〜3年・3年以上、という区切りで
  2. 退職面談で、本音に近い言葉を記録する——辞める人は、在職者が言えない本音を話してくれることがあります。これは無料の経営レポートです
  3. 段階ごとの人数の推移を、月次で追う——特定の段階に偏りが出ていないかを、在籍者アンケートとは別の帳票で見る

退職者からどう本音を引き出すか、去り際をどう扱うかについてはこちらの回で扱っています。また、辞める兆候そのものは実は退職の申し出より前に出ています。事前の兆候の見方はサインの回が参考になります。今回の話は、すでに辞めた人たちのデータをどう分けて読むかという、その手前の測定方法についてです。

自社の離職の状態を数字で確認したい方は、組織診断(14問・3分)でどうぞ。