🏢 経営向けの記事
「1人空いてます」は、社内で後回しにされる報告である
「Aさん、来月から空きます」——営業会議でこう報告して、「了解、探しておいて」で流されたことはないでしょうか。誰も悪気はありません。ただこの報告は、状態の共有であって、問題の報告になっていないのです。
「空いてます」には、緊急度が乗らない
経営や他部署の頭の中で、「1人空いてます」は在庫の話に聞こえます。在庫はいずれ捌ける前提のものです。だから会議室の優先順位では、今月の受注や炎上対応の後ろに回ります。
同じ事実でも、こう言えば聞こえ方が変わります。
「Aさんの待機が1か月続くと、今月80万円が入ってきません。3か月なら240万円です。これは今期の営業利益目標の◯%にあたります。」
在庫の話が、損益の話に変わった瞬間、聞く側の椅子の座り方が変わります。 金額に翻訳することは大げさに言うことではなく、正確に言うことです。
予実のズレは、3つに分解できる
金額を出したあと、次に効くのは「なぜそのズレが起きたか」を分解して見せることです。予実のズレは、たいてい人数・単価・稼働のどれかから来ています。
| ズレの発生源 | 何が起きているか | 打ち手 |
|---|---|---|
| 人数 | 採用・配属が計画より遅れている | 採用の優先度を上げる |
| 単価 | 交渉が止まり、相場より安いまま | 単価交渉のタイミングを作る |
| 稼働 | 待機や離脱が発生している | 待機の解消を最優先にする |
「今月の売上が300万足りません」と合計額だけ出す報告は、聞いた側も「頑張ろう」としか返せません。ズレの発生源を名指しすると、返ってくる答えも具体的になります。 待機由来のズレなら、対策は営業の頭数を増やすことではなく、その人の稼働を止めている何かを取り除くことです。
「早く決めて」ではなく、「いつまでに・何を」で頼む
数字が通ったあとの頼み方にも型があります。「早くお願いします」は、相手に何をしてほしいか伝わっていません。
「今週中に、単価60万以上・稼働率80%以上の候補現場を3件、一緒に絞り込みたいです。来週の面談枠を確保してもらえますか。」
期限・条件・相手にしてほしい具体的な行動——この3つが揃って初めて、社内の依頼は「お願い」から「タスク」に変わります。
会社としてやるなら
待機の報告を営業個人の感覚に任せている会社は、報告の熱量で優先度が決まってしまいます。声が大きい人の待機から先に片付き、静かな人の待機は放置されます。
- 待機は発生した時点で金額表示する(人数ではなく金額を経営会議の議題に乗せる)
- 予実のズレを人数・単価・稼働で分解した表を定例で回す
- 待機2か月を超えたら自動でエスカレーションするルールを作る(本人任せ・営業任せにしない)
正確な待機コストの内訳(管理コストや妥協した単価差まで含めた実額)を計算したい場合は待機コスト計算機で自社の数字を出せます。単価交渉そのものの進め方はこちらで扱っています。
数字は、感情より先に社内を動かします。「空いてます」を金額に変えるところから始めてください。自社の営業の数字の使い方は組織診断でも確認できます。