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偽装請負は「客先が悪い」では終わらない——指揮命令の実態と、双方が負う責任
「契約は準委任です。何か言われても、契約書を見せれば大丈夫ですよね」——現場の管理職からこう聞かれたら、その理解はすでに半分間違っています。偽装請負かどうかを決めるのは、契約書に書いた名前ではなく、現場で実際に何が起きているかです。
見るべきは「誰が」「何を」指示しているか
判断の基準は厚生労働省の告示(いわゆる37号告示)にあります。請負・準委任と認められるには、次の両方を自社が満たしている必要があります。
- 自社が雇う労働者に、自ら指揮命令している(業務の指示・労働時間の管理・企業秩序の維持)
- 請け負った業務を、自社の判断で独立して処理している
朝会で客先のPMがその日のタスクを直接割り振っている、進捗管理ツールに客先が直接指示を書き込んでいる、休暇の可否を客先に確認させている——こうした状態は、契約書の欄に「準委任」と書いてあっても、実態は労働者派遣に近づいています。一文の報告だけで契約を打ち切るのは早計ですが、準委任という肩書きに安心して確認を止めるのも、同じくらい危険です。
双方が責任を負う、という前提を持つ
偽装請負と判断されたとき、責任を問われるのは受け入れた側(発注者)だけではありません。無許可で労働者派遣に当たる状態を続けていた側(受注者)も、是正指導の対象になります。「客先が言い出したことだから」は、自社を守る理由にはなりません。
さらに重いのが、労働契約申込みみなし制度(労働者派遣法40条の6)です。違法派遣を受け入れていた発注者は、その労働者に直接雇用を申し込んだものとみなされることがあります。送り出す側にとっては、この制度がある限り、受け入れ先が誠実に扱っているかどうかも他人事ではありません。
現場からの一文を、どう扱うか
管理職に必要なのは、白か黒かの即断ではなく、実態を確認する習慣です。契約形態と、実際に誰が指示を出しているかを案件ごとに並べてみると、ズレている案件はたいてい見つかります。平常時には何も問題が起きないからこそ、意識して点検しないと気づけません。
自社の現場を突き合わせるなら、偽装請負セルフチェック(12項目・登録不要)が最初の一歩になります。準委任と派遣の使い分けそのものを見直したい場合はこの記事も参考にしてください。同じ判断基準は経営者・幹部の型でも繰り返し確認できます。
2026年8月時点の制度に基づいています。実際の判断は、専門家の助言の代わりにはなりません。