🏢 経営向けの記事
新規開拓の成果は、1年遅れてやってくる
営業の仕事は、成果が出るまでの時間が仕事ごとにまったく違います。ここを混ぜて評価されるのが、SES営業の消耗の大きな一因です。
3つの時計が同時に回っている
| やること | 成果が出るまで |
|---|---|
| 既存客への追加提案 | 今月 |
| 既存客の別部署へ広げる | 3か月 |
| 新しい取引先の開拓 | 早くて半年、たいてい1年 |
月次で評価する会社は、いちばん上の時計しか見ていません。だから開拓の種を撒いている期間、あなたはずっと「今月も成果が出ていない人」になります。「何の成果が出てるの?」と聞かれ続ける。
そして1年後、その客先に人が入り始めた頃には、それはもう当たり前の風景になっています。誰も「あれは種を撒いた人がいたからだ」とは言いません。
構造上そうなるのであって、あなたの努力が足りないからではありません。ここまでは、前の記事と同じ話です。
ここから、逃げずに書きます
仮に開拓が実って、その客先に何人も着任したとします。おめでとうございます。本当に、価値のある仕事です。
では、なぜ実ったのか説明できますか。
- 何社にアプローチして、何社が返信したのか
- 進んだ会社と止まった会社は、何が違ったのか
- 決め手になった一手は何だったのか
説明できないなら、その成果は運と区別がつきません。
厳しい言い方ですが、実害があるので書きます。運と区別がつかない成果は、次の場所では使えません。「前職で新規開拓して、10人以上着任させました」と言っても、「どうやって?」に答えられなければ、面接官が評価するのは前の会社の看板の方です。あなたではなく。
「ほらみろ」で終わらせると、いちばん損をするのはあなたです。1年かけた仕事が、経験ではなく思い出になってしまう。
週5分で足ります
記録するのは3つだけです。凝ると続きません。
- 会った会社
- どの段階まで進んだか(名刺交換 → 面談 → 提案 → 検討 → 初回参画)
- 止まったなら、その理由
月末に1行だけ足します。「今月、1段進んだのは何社か」。
これだけです。CRMも要りません。表計算でも、手帳でもいい。
これが効く場面は2つある
① 折れない
半年成果ゼロに見える時期に、「20社に会って、3社が検討まで進んでいる」と自分で確認できるかどうかで、続くかどうかが変わります。数字は、他人を説得する前に、自分を支えるために要ります。
② 再現できる
20社のうち3社だけが進んだ理由が、溜まると見えてきます。業種か、規模か、会った相手の役職か、紹介の有無か。それが分かった瞬間、次の20社は5社になります。これが型です。
型を持った営業は、環境が変わっても数字を作れます。持たない営業は、毎回また20社から始めます。
おまけ:議論の土俵が変わる
「成果が出ていない」と言われたとき、感覚で言い返すと感情論になって終わります。どちらが正しいかではなく、声の大きい方が勝つからです。
こう言えると、話が変わります。
今期は20社に接触して、3社が検討段階まで来ています。前期は接触18社・検討1社だったので、進捗は倍です。初回参画までのリードタイムは平均10か月なので、この3社は来期の数字になります。
相手が納得するかどうかは分かりません。でも、議論が数字の土俵に乗ります。土俵が変われば、少なくとも「気合が足りない」で終わることはなくなる。
同じことは、待機の話でもできます。「待機が出ている」と言われたら率にしてみてください。60人を見ていて待機1人なら98.3%です。この業界で98%は十分に高い。言いやすいことを言われているだけなのか、本当に問題なのかは、率にすると分かります。
会社としての数字を月単位で残すなら、数字を見る日を決めるへ。待機を実額に換算したい方は待機コスト計算機が使えます(登録不要)。