SESOSe

🏢 経営向けの記事

2026-08-04|読了 約2分

準委任と請負は「完成義務」で見分ける——契約書の型を混ぜない

「これは準委任なので、納品物の責任は負っていません」——現場責任者がそう説明した契約書を開くと、「成果物の検収完了をもって報酬を支払う」という条項が書かれている。この食い違い、実はSESでかなり頻繁に起きています。

本質的な違いは「完成させる義務」があるかどうか

準委任と請負を分ける軸は、稼働先や報酬の精算方法ではありません。仕事を完成させる義務を負うかどうかです。請負は完成義務を負い、完成しなければ報酬を請求できないのが原則。準委任は善管注意義務を負いますが、完成義務はありません。

SESの多くは準委任です。事故が起きるのは、この型と実態がずれたときで、「請負なのに時間精算をしている」「準委任なのに納品物の責任を負わされている」が典型です。どちらの契約を結んでいるか即答できない管理職は、その時点で危ういと考えたほうがいい。

準委任にも2種類ある——履行割合型と成果完成型

改正民法648条の2で、準委任には「履行割合型」(従事した割合に応じて報酬が発生する)に加えて「成果完成型」(成果物の引き渡しで報酬が発生する)が明文化されました。SESの月額精算・上下割は履行割合型です。

注意すべきは、成果完成型の準委任は請負に近い性質を持つという点です。「準委任だから完成義務はない」という理解のまま成果完成型を結ぶと、想定と違う責任を負うことになります。契約書のどちらが書かれているかを、自分の目で読む習慣が要ります。

請負を結ぶなら、仕様書に「適合」の中身を書く

2020年施行の改正民法で、「隠れた瑕疵」という要件は外れ、契約の内容に適合しているかどうかで判断する契約不適合責任に整理されました。発注者は履行の追完・代金の減額・損害賠償・解除を求められます。

請負を結ぶなら、何をもって「契約に適合」とするかを仕様書に具体的に書いておく必要があります。曖昧な仕様書は、後から値引き交渉の材料に変わります。1つの契約書に時間精算の条項と完成条件の条項が同居していると、トラブルが起きたときにどちらの責任を負うのかで揉めます。型を混ぜたまま結んだ契約書は、それ自体が事故の種です。

自社の契約書がどちらの型か整理したいときは、偽装請負の判定基準もあわせて読んでください。契約まわりの知識は経営者・幹部の型で確認できます。全社の契約の棚卸しは組織診断から。

2026年8月時点の制度に基づいています。実際の判断は、専門家の助言の代わりにはなりません。