SESOSe

🏢 経営向けの記事

2026-09-01|読了 約3分

「辞めるか続けるか」の前に、選べる状態を作る

もう限界かもしれない、と思っている人へ。

辞めるべきかどうかは、ここには書きません。それは他人が決めることではないからです。書くのは、その前に片付けておくと結果が変わることについてです。

「希望がない」と「選択肢がない」は違う

希望がないのは、感情です。今日の疲れ方や、頼りにしていた人が離れるかどうかで変わります。

選択肢がないのは、事実です。そして——事実の方は、変えられます。

順番を間違えないでください。希望がない状態で選ぶと、たいてい「選ぶ」ではなく「逃げる」になります。逃げること自体は悪くありません。逃げるべき場所はあります。ただ、逃げた先で同じ構造に当たる確率が、SESでは高いのです。

引継ぎが無いのも、社長が長く1人でやってきたのも、教育の型が無いのも、この業界の多数派です。会社を変えて解決するのは「人間関係」です。「型が無いこと」は解決しません。

選べる人の条件は、2つだけ

① 持ち物がはっきりしている

あなたが持ち出せるものは何ですか。数えてみてください。

  • 顧客リスト → 持ち出せません(会社のものです)
  • 「あの担当者と仲がいい」 → 半分しか持ち出せません(会社の看板で会っている部分があります)
  • 判断の型(なぜその単価か/なぜ断ったか/どの組み合わせが失敗するか) → 全部持ち出せます
  • 相場の知識 → 全部持ち出せます

下の2つだけが、あなたのものです。

ここが薄いまま辞めると、交渉材料がありません。「大変な環境で頑張りました」は職務経歴書に書けません。「何人抱えていました」も、規模の話であって、あなたの再現性の話ではない。

逆に言えば、この2つを持った瞬間、同じ人が別の値段になります。

② 外の相場を知っている

自分がいくらの人間か、言えますか。

数十人規模のSESで、1人で営業を回して、新規開拓もできる人の相場を。地域別に。年齢別に。

言えないなら——ここは書きにくいところですが、書きます——エンジニアを「実力もないのに要求ばかり」と思う資格は、実はありません。 まったく同じことをしているからです。自分の値段を知らずに、環境に不満を持っている。違うのは、営業の方はそれを調べられる立場にいる、ということだけです。

これは責めているのではありません。いちばん早く直せる場所だから書いています。1週間、本気で調べればいい。

「違う方向から見る」は、性格ではなく技術です

選べる人のもう1つの条件は、同じ景色を複数の見方で見られることです。これは生まれつきではなく、練習でつきます。型を1つだけ渡します。

いま腹が立っていることを1つ選んで、こう問い直してください。

この人がこう振る舞うのが合理的になる状況は、どんな状況か。

やってみます。

  • 社長が理由を言わずに文句を言う → 本人も言語化していないなら、合理的です。20年ぶんの勘は言葉になっていない。言葉にできないことは、教えられない
  • エンジニアが根拠なく要求する → 自分の値段を知らないなら、合理的です。知らないまま希望を言うしかない
  • 上司がフォローしきれない → 現場を持ったまま兼務しているなら、合理的です。時間は増えません

⚠️ これは相手を許すための技術ではありません。許さなくていい。会社の落ち度は落ち度のままです。

これは打ち手を増やすための技術です。「相手が悪い」で止まると、対処は「我慢する」か「辞める」の2つしかありません。構造が見えると、3つ目以降が出てきます——率で示す/型を作って渡す/値札を教える。

打ち手が2つしかない人は、選んでいません。選ばされています。

そのうえで、辞めてもいい

型があり、相場を知っていて、記録がある。この3つが揃った日に、あなたは初めて選べます。

そのとき残るなら、それは「仕方なく」ではなく「選んだ」に変わります。同じ会社の同じ席にいても、これはまったく別のことです。そして選んで残った人は強い。会社に対して要求できるようになるからです——代わりがいないと、自分でも分かっているから。

出ていくなら、そのときは堂々と出ていけます。引き止められる側になっているはずです。

どちらでもいい。どちらでもいい状態を、まず作ってください。

最後に

希望は、誰かがくれるものではありません。頼りにしていた人がいなくなっても、消えないものであってほしい。

希望とは、選択肢の数のことです。

いま1つしかないなら、増やせます。半年あれば足ります。型を書き、相場を調べ、記録を残す。地味です。でも、この3つは誰の許可も要りません。会社が教えてくれなくても、社長が認めてくれなくても、今日から始められます。

そこだけは、最初からあなたのものです。


自分の相場を測るところから始めるなら、単価の逆算(登録不要)。会社の現在地を数字で見るなら3分の組織診断。読む順番に迷ったらSES営業の読み順へ。