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2026-08-30|読了 約3分

自分の単価は高いのか安いのか、国の統計で確かめる

自分の単価が高いのか安いのか、比べる相手がいません。同僚には聞きにくいし、聞けたとしても1人か2人。ネットで見つかる「相場」は、どこから来た数字なのか書かれていないことがほとんどです。

比べる相手なら、国が毎年公表しています。

34,382円と21,032円

厚生労働省が毎年まとめている「労働者派遣事業報告書の集計結果」に、業務別の数字があります。「情報処理・通信技術者」の令和6年度は、こうでした。

  • 派遣料金 34,382円(1人1日・8時間あたり)
  • 賃金 21,032円(同)

月20日で計算すると、料金は約68.8万円、賃金は約42.1万円です。前年度は料金33,387円・賃金20,430円だったので、どちらも3%ほど上がっています。

自分の単価を知っているなら、上の線と比べられます。知らないなら、年収から逆算する道具があります。年収は誰でも知っているので、そこから戻せます。

この数字を読むときの、3つの注意

① これは「労働者派遣」の数字です。 SESの多くは準委任契約なので、そこは入っていません。同じ働き方に見えても、契約の種類が違えば集計の対象も違います。近い線ではありますが、同じ線ではありません。

② 「情報処理・通信技術者」には通信も入っています。 システムエンジニアだけを取り出した数字ではありません。

③ 派遣料金には消費税が含まれています。 これは報告書に明記されています(注2・※5)。一方、賃金に消費税はかかりません。だから料金と賃金を単純に引き算すると、差が実際より大きく見えます。

3つ目は特に効きます。34,382円から21,032円を引くと13,350円で、料金に対して38.8%。でも料金を税抜(1.1で割る)に直すと31,256円になり、差は10,224円で32.7%です。同じ数字から、6ポイント違う答えが出ます。

「相場は◯%」が信用できない理由

マージン率という言葉で調べると、いくつも数字が出てきます。実は、公的な数字だけでも3つあります。

何を数えたかマージン率
事業所を1つずつ数えた中央値(全業種・7,157事業所)32.0%
全業務の全国平均36.3%
情報処理・通信技術者の全国平均38.8%

どれも正しい数字です。 母集団が違い、平均の取り方が違うだけです。事業所を1社ずつ数えるのと、取引量で重みをつけて平均するのとでは、答えが変わります。

だから「業界のマージン率は◯%」とだけ書かれていたら、それがどれなのか分かりません。出典と、いつの数字かと、何を数えたかが書かれていない数字は、比べる相手として使えません。

3つの内訳と出典はSESの数字にまとめてあります。自社の位置を出したい方はマージン率の位置へ。

商流の何段目にいるか

もうひとつ、単価に効く数字があります。公正取引委員会が2022年に行った実態調査で、資本金3億円以下のソフトウェア業に自社の位置づけを聞いています(回答数4,589)。

  • 元請 40.4%
  • 中間下請 38.2%
  • 最終下請 21.3%

同じ調査の自由回答に、こういう声が載っています——「エンジニアの準委任契約(SES)では最大5社が中間に入るケースがあり、間に入っている企業は何もしない」。これは統計ではなく1つの回答ですが、公的な報告書に残っている記録です。

自分が何次請けにいるかは、単価の伸びしろがどこにあるかを教えてくれます。同じ実力でも、商流の位置で手取りは変わります。

それでも、自分の数字が先です

ここまでの数字は、全部あなた以外の誰かの平均です。平均より上でも下でも、それ自体は良いことでも悪いことでもありません。地方の案件と都心の案件では線が違うし、未経験1年目と10年目を同じ線で見ても意味がありません。

役に立つのは、自分がどのあたりにいるかを知ったうえで、次に何をするかを決められることです。

  • 単価を知らないなら、まず年収から逆算する
  • いちばん確実なのは営業に聞くことなので、その文面も置いてあります
  • 単価が「いまの実力の全部ではない」ことを確かめたいなら、3分の自己診断へ

数字の出どころを全部確かめたい方は、SESの数字に一次資料への直リンクを並べています。稼働率と待機率は、探した範囲では公的統計に存在しなかったので、そう書いてあります。

2026年8月時点で公表されている数字に基づいています。