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2026-08-08|読了 約3分

「時間がない」の正体——常駐しながら管理職をやる、という二重労働

SESのリーダー・管理職の悩みを突き詰めていくと、最後はたいてい同じ場所に着きます。時間がない。

そして多くの人が、これを自分の能力の問題だと思っています。「時間管理が下手なのかもしれない」「もっと効率よくやれば」——先に結論を言います。違います。構造の問題です。

あなたは、実質ダブルワークをしている

思い出してください。あなたの稼働は、客先との契約でほぼ100%埋まっています。客先ではあなたはエンジニアで、その働きに対して単価が支払われている。

その上に、社内の役が乗ります。メンバーのフォロー、勤怠の確認、評価、採用面接、会議、資料——これはもう一つの仕事です。でも、この仕事のための時間は、契約のどこにも書かれていません。

つまり、管理の時間は公式にはどこにも存在しない。存在しない時間で行われる仕事は、実在する時間——あなたの夜と週末——に住み着きます。2人分の仕事は2人分の時間がかかる。それを1人分の時間でやろうとすれば足りないのは、算数であって、能力ではありません。

「部下に振れない」の本当の理由

この構造には、続きがあります。あなたが仕事を振ろうとする相手——リーダー候補のメンバーも、同じ構造の中にいます。彼らの稼働も客先で埋まっている。

だから、振れない。仕事を振ることが、その人の夜を奪うことと同じ意味になってしまうから。あなたが抱え込むのは、性格でも優しさの過剰でもなく、振り先の時間が制度上存在しないからです。抱え込みの罠には構造的な根っこがある——これがその根っこです。

法律の話を、一度だけ

会社の中では言いにくいことなので、ここで言っておきます。「管理職だから残業代は出ない」は、大半の課長・部長には適用されません。労働法上の「管理監督者」に該当する条件は極めて狭く(経営への実質的参画・勤務時間の裁量・相応の待遇)、名ばかりの管理職は該当しません。管理業務の時間が勤怠に計上されず、対価も払われていないなら、それは働き方の問題ではなく法令の問題です。

これを知っていることと、明日会社と戦うことは別です。でも、知らないまま「そういうものだ」と飲み込むのと、知った上で自分の扱いを決めるのとでは、立っている場所が違います。

できることを、順番に

① 管理業務を見える化する。何に何時間使ったか、1〜2週間だけ記録してください。見えない労働には、枠も対価も永遠に付きません。逆に、数字になった瞬間から交渉の材料になります(数字に言わせるの実践です)。

② 会社に「時間の枠」を提案する。精神論ではなく制度で。たとえば「月に半日〜1日、役割に応じた社内業務日を設ける」——月次の帰社日のような形は、多くの会社で現実的に設計できます。通し方は上司を敵にしない技術と根回しで。

③ 振るときは、仕事ではなく役割を渡す。タスクの横流しは相手の夜を削るだけですが、権限と意味の付いた役割は、相手のキャリアの材料になります。同じ1時間の負担でも、意味がまるで違います。

④ それでも枠が来ないなら、線を引く。提案しても制度が変わらないなら、それは会社の選択です。あなたの罪ではありません。無い時間を自分の身体で埋め続ける義務は、誰にもない。出口の場所を知った上で、続けるかどうかを自分で選んでください。

最後に

この構造の中で、それでもチームのために夜の時間を使ってきたあなたへ。その時間は、確かに誰かを助けてきました。でも、善意で埋め続けた穴は、制度からは見えません。見えないものは、直されません。

だからまず、見えるようにする。あなたの夜を守ることは、次にこの役をやる誰かの夜を守ることでもあります。