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🧑‍💻 エンジニア向けの記事

2026-07-20|読了 約2分

人を増やせば追いつく、は幻想——炎上現場でまず見るもの

「せめてもう1人、入れてもらえませんか」——遅延している現場から、月に一度は上がってくる要望です。上が渋ると「人が足りないから遅れているのに」と苛立たれ、通しても数週間は逆に進捗が落ちる。この矛盾には、ちゃんと名前が付いています。

増えた人数は、そのまま働かない

新しく入った人は、まずコードとドキュメントと業務知識を頭に入れる必要があります。それを教えるのは、いま最も忙しい既存メンバーです。教える側の手が止まる分だけ、増員の初速はマイナスから始まります。加えて、人数が増えるほど「誰が誰に何を伝えたか」の組み合わせも増え、認識合わせの会議が長くなる。半世紀前から知られている、人月換算の落とし穴です。

効くかどうかは、「渡せる形」があるかで決まる

同じ増員でも、結果が割れる現場があります。分かれ目は本人の能力ではなく、引き継げる基準と手順がすでに文書化されているかです。手順書があれば、新しい人は自分で読んで動けます。無ければ、既存メンバーが口頭で説明する時間がそのまま増員のコストになります。「もう1人ください」より先に聞くべきは、「いまその現場に、渡せる形はありますか」です。

減らないのは「何を作るか決める」仕事

道具やAIがどれだけ進化しても、消えない作業があります。何を作るべきかを決め、曖昧な要件を確定させる仕事です。ここは代替できず、経験のある人にしかできません。逆に、単純に手を動かすだけの作業は、渡せる形さえあれば増員が効きます。遅れの正体が「決める人」の不足なのか「動かす人」の不足なのかを見分けないまま増員すると、教育コストだけが増えて終わります。

増員を頼む前にやること

  1. いま詰まっている作業を1つ挙げ、それが「決める仕事」か「動かす仕事」かを言葉にする
  2. 「動かす仕事」なら、渡せる手順があるか確認する。無ければ先にそれを作る
  3. 「決める仕事」なら、増員ではなく巻き取りか権限移譲を検討する

この3行を上申の前に済ませておくと、「なぜ人が要るか」の説明が一段強くなります。焦って増員だけを求めているように見えているかもしれません。


自分のチームがいまどちらの詰まり方をしているか整理したい方は、3分の自己診断へ。判断の型をもっと増やしたい方はリーダー・マネージャー向けの問題集、「時間がない」の正体を掘り下げたい方は常駐しながら管理職をやる、という二重労働も参考になります。