🧑💻 エンジニア向けの記事
2026-08-03|読了 約2分
根回しは、ずるくない——提案が通る順番の話
エンジニアには、正しさで通したい人が多い。良い提案なら、会議でそのまま出せば通るはずだ——通らないのは、会社が腐っているからだ、と。
その気持ちは正しい。でも、その方法は間違っています。
人は「自分が聞いていないこと」に反対する
会議で初見の提案に返ってくる反応は、内容の評価ではありません。防御反応です。人は、自分が事前に聞いていなかったこと、自分の仕事が変わるかもしれないことに、まず身構えます。内容が正しいかどうかは、その次にしか検討されません。
つまり、会議にいきなり出した提案は、内容を検討してもらえる土俵にすら乗っていない。正しさが敗けたのではなく、正しさを審査してもらう手続きを踏んでいないのです。
根回しの本質は、敬意
根回しという言葉が嫌いなら、こう言い換えてください。相手に、考える時間を渡すこと。
やることは単純です。
- 影響を受ける人を洗い出す。その提案で仕事が変わる人、面子に関わる人、承認に関わる人。
- 一人ずつ、先に見せる。このとき「承認してください」ではなく「どう思います?」で持っていく。意見を求められた人は、審査員から共作者に変わります。人は、自分が意見を出したものに反対しません。
- 反対は、宝。事前に出た反対意見は、本番前に見つかった弱点です。取り込めるものは取り込み、取り込めないものには答えを用意する。
- 会議は、決める場ではなく確認の場にする。全員が一度見た提案が会議に出てきたとき、それはもう「みんなのもの」です。
エンジニアの言葉で言えば、こうです。いきなり本番デプロイしない。一人ずつステージングでテストして、会議はリリースセレモニーにする。あなたが普段コードでやっていることを、提案でもやるだけです。
正しさは、届け方との掛け算
正しいことを言ったのに通らなかった悔しさを、抱えている人は多いはずです。その悔しさは、正しさを磨いても回収できません。届け方の技術で回収してください。
正しさ × 届け方 = 会社に届く力。どちらかがゼロなら、結果はゼロです。あなたには正しさがある。あとは掛け算の相手だけです。
このシリーズの前2本——上司を敵にしない技術と横の連帯の作り方は、この根回しの「誰に先に見せるか」の答えでもあります。上司と、横。その先の話は鏡としての組織(上級編)へ。