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2026-08-01|読了 約2

管理職がつらいのは、あなたが無能だからではなく「役」だから

主任やリーダーになって数ヶ月。「向いてないかもしれない」と思い始めた人に、最初に伝えたいことがあります。

そのつらさは、あなたの能力の問題ではありません。その椅子に最初から組み込まれた仕様です

これはきれいごとではなく、構造の話です。管理職のつらさは、分解するとほぼ4つに収まります。そして4つとも、誰が座っても発生します。

つらさの正体は4つしかない

① 板挟み。上は「もっと数字を」と言い、現場は「もう限界です」と言う。あなたは両方の言い分が分かってしまう位置にいます。どちらかに寄れば楽になりますが、寄れないのがこの役です。正解のない問いに挟まれているのであって、あなたの調整力が低いのではありません。

② 時間の限界。SESの主任のほとんどは、自分の案件を持ったままリーダーをやります。日中は現場、夕方から部下の相談、自分の作業は夜。「マネジメントの成果」は見えにくいのに、自分のプレイヤーとしての数字が落ちれば目立つ。この非対称は、兼務という形そのものが生んでいます。

③ 嫌われ役。昨日まで一緒に愚痴を言っていた仲間に、今日から評価を伝える側になる。年上の部下に「このままだと評価を下げざるを得ない」と言う。人に嫌われたくないのは人間の初期設定なので、これが消耗しない人はいません。

④ 孤独。役職が付いた瞬間、給与や人事の情報は「話せない秘密」に変わります。悩みを共有していたコミュニティから、静かに切り離される。SESではこれが特に重い。自社の同僚と物理的に離れた客先で、一人でリーダーをやっている人が大勢いるからです。

「役」だと分かると、何が変わるか

演劇で悪役を演じた俳優は、性格が悪いわけではありません。同じように、評価を伝えるのも、耳の痛い注意をするのも、会社から任ぜられた役の仕事です。あなたという人間の全部でやる必要はない。

この切り分けができると、2つの実務が楽になります。

  • 「いい人」をやめて「誠実な人」をやる。上の方針を伝えるとき、「上がこう言ってるから」と役を降りて伝えると、部下は誰を信じればいいのか分からなくなります。「会社の方針はこうだ。だから自分たちのチームはこうしたい」と、役に留まったまま自分の言葉で伝える。そのうえで、できない理由は一緒に話し合えばいい
  • 弱音の逃げ場を、構造として作る。利害関係のない相手——他社のリーダー経験者、社外の友人——に話せる場所を確保しておく。精神論ではなく、①〜④が仕様である以上、排気口も仕様として要るのです

それでも、この役には報酬がある

自分の成績を上げるゲームは、いつか頭打ちになります。メンバーに勝たせ、チームで勝つゲームは、そこから先も続く。部下が自分の知らないところで成長していたと気づいた日、この仕事は急に面白くなります。

ただし、それは今日でなくていい。今日はまず、「このつらさは仕様だ」とだけ覚えて帰ってください。


いま自分がどの状態にいるかを言葉にしたい人は、3分の自己診断へ。この役で何を引き受けるのかが少し見えた人は、リーダーの三行に書き残しておくと、数ヶ月後の自分への良い手紙になります。